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2007年9月11日 (火)

ヨージおじちゃん

知的障害を持つヨージが我が家に転がり込んできて数ヶ月がたつ。家族として彼が家の真ん中にいることが当たり前のようになってきた。4歳の長男・2歳の次男もヨージおじちゃんがいる生活を当たり前のように受け入れている。たまにヨージが帰省すると、次男は泣いてしまう。長男は「また帰ってくるよ」とそれをなだめる。

数ヶ月前、突然の病で歩けなくなり、その歩けない自分を受け入れられず車椅子を拒否したり、ヨージ自身にとっても我々にとってもとても辛い時期があった。今ではそれも完治し、あの頃がうそのような家族の雰囲気を取り戻すことができた。

子供たちがおもちゃを散らかして遊んでいる。私が「散らかしたのは誰だ!」と叱ると、ふたりは「ヨージおじちゃん」と答える。ヨージも「え~うそ~」といって笑っている。子供たちに「欧米か!」とか何だとかいわれて頭をポンと叩かれる。それでもヨージは笑っている。

まだ字の読めない次男は、本を持ってヨージのところに行って「おじちゃん、読んで」と本を読んでもらう。ヨージの言葉は分かりにくいのだが、それでも次男は真剣に聞いている。

今、ヨージはひとりで風呂に入る練習をしている。私が近くでいろいろと指示を出し、練習をしている。そこに子供たちがやってきて、ヨージがひとりで体を洗っている姿をみて「ヨージおじちゃん、自分で洗ってるよ!」と感心している。その頑張っている姿に、ただ感心しているのだ。

いろんな部分において、すでに二人はこのおじちゃんを超えてしまってもいる。だからといって、哀れに思うこともなければバカにすることもない。できる・できないを超えたところにある「頑張っている」という姿に、子供たちは共感し、尊敬もしているようだ。

子供たちが将来どんな道を歩んでいくかは分からない。私の仕事をついでくれるかも知れないし、まったく別の世界かもしれない。でも今ヨージおじちゃんと暮らしているこの貴重な体験は、きっと彼らの中に残ってくれるだろうと思う。

先日、私の家族と生活ホーム「らいと」の全員で、佐倉まで遊びに行ってきた。森の中でヨージはどんぐりをふたつ拾ってきて、二人の子供たちに大事そうに手渡してくれた。不器用ゆえに手のひらからこぼれ落ちそうなどんぐりを、丁寧に小さな手のひらに移してくれた。子供たちは大事そうにそれを受け取り、笑顔で「ありがとう」と答えていた。

ヨージのこの素朴な気持ちの伝え方に対して、子供たちはいつか拒絶という形で答える日も来るのだろう。そしてそれを超えて、拒絶した自分を責める日も来るのだろう。人はそうして大人になってゆく。人は傷つき、また人に傷をつけながら大人になっていく。

どんぐりも、大人になった子供たちから、また小さな手に移されてゆくのだろう。そしてお自分が受け取ったどんぐりの記憶を、その時思い出したりもするのだろう。

ヨージよりも2歳年上の私も、ヨージから学ぶこともある。

笑顔を忘れちゃあ、いけないんだよ。

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