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2007年6月 5日 (火)

苦情男

 みなさん、体調はいかがですか?私は妻や子供の看病をしたり仲間たちの病院に通ったりしている間に、いつの間にか質の悪い風邪にやられてしまって、足腰が立ちません。それでも10年以上無遅刻無欠勤なので、仕事はちゃんとしておりますが。(偏頭痛もちは、ある意味、丈夫なのですよ。どんなに辛くても偏頭痛の痛さに比べたら屁でもないわけですし、それはもう30年以上耐えてきているわけですから。偏頭痛のひどい時に比べたら、金槌で指先叩かれた方がよっぽどましですから。)

 さてさて、そんな時に来ました。昨日、苦情が。「責任者を呼べ!」・・・はいはい、行きますよ。この安っぽい頭、仲間たちのためなら何度でも下げられますから。現場に向かう車の中では吐かずに頭を下げる練習です。脂汗です、まったく。

 先日お寿司のカタログを配っていた作業所の仲間たちが、女子寮のポストなどに投函中にL字型のドアノブを触っていて、もし開いたらどうするんだ、ということです。そのお怒りはもっともなことです。

 その日担当していたイタルさんとクニちゃんは、もちろん女性の部屋に興味を持つタイプではない。故意に開けようとしたわけではないのは分かります。でもなぜ?

 二人を現場に連れて行き、話を聞いても「???」…まったく身の覚えのない様子。現場責任者のイタルさんはもちろんのこと、クニちゃんのことも「そんなことはしていませんでした」と。

 しかし苦情が発生したのは事実。自前のチラシを配っている時なら「やってません」と向かっていってもいい。しかし要はお寿司屋さんに対するイメージがどうかという話です。納得のいかないイタルさんを説得。「大切なことは、これからそのお客様がお寿司をとってくれるかどうかだよね。お寿司をとってくれたお客様のお金が、二人の給料になるんだから。」

 二人を連れて苦情主様のことろに謝りに行きました。<やった、やってない><なぜやった>そんな話はいたしません。「これから気をつけます。申し訳ありませんでした。」これを貫くだけです。

 本当は納得していないイタルさんの謝り方は、しかしとても潔かった。自分のプライドとかそういうものでなく、お寿司屋さんのために、深々と頭を下げ続け、「クニ、謝ろう」と。

 その相手の方はとても親切な人で、「うん、いいよ。いつもありがとう。お寿司とってるよ。今度は気をつけてね」「はい」・・・これで帰ってきました。

 翌日、つまり今日です。今日も二人はお寿司屋さんのカタログ配布。私もついていくことにしました。行く途中の車の中、イタルさんの表情は冴えません。「どうしたの?」「緊張してます」。失敗の理由が分かればそれを修正するだけですが、分からないままリスタートですから緊張するのも当然です。

私はあえていいました。「たまには苦情も必要だよね」。一瞬「えっ」という表情の彼。

「苦情が全然なければ、緊張感はなくなっていくでしょ?たまにこうして苦情ももらって、よしもっといい仕事しよう、と思えばいいんだから。俺たちは昔はたくさん苦情をもらって、ここまで仕事を覚えてきたんだから。その気持ちを忘れるなっていうことなんだよ、きっと。」

イタルさんの表情が急に明るくなりました。明るくなったというよりは、前を見るようになったという感じですが。

さあ、出発地点に着きました。私がイタルさんにこうして付くのは久しぶりです。それも苦情のおかげです。「どこから始める?」私が聞くと、イタルさんが答えました。「あのお店です。」

「えっ!」…あのお店のオーナーは、昨日謝りに行った先の苦情主様です。イタルさんはあえて、そこを今日の出発点にしたのです。

「分かった。ポストに入れずに手渡ししよう。」「そうね。」とイタルさん。

「○△寿司です。昨日は申し訳ありませんでした。」そういいながらカタログを手渡す。昨日その方の自宅に配っているわけですから、その方もカタログがあえて欲しいわけではないはずです。しかし明るく受け取ってくれました。「ありがとう。また寿司とるからね」「よろしくお願いします。」

爽やかな朝のスタートです。きっとそのオーナー様にとってもそうだと思います。

その後、しばらく私はクニちゃんのチェック。イタルさんにクニちゃんの見方をもう一度教えなおす機会です。「ここで待って、クニちゃんの入れ方を見てみな。ここならちゃんと見えるでしょ。ここまで来て確認するんだよ。」

私がイタルさんに付きながらクニちゃんの入れ方を見ている。するとクニちゃんは、ポストに入れ終わった後、鍵穴の部分をカンカンと叩いています。もともと水が張ってある容器の表面をちょっと叩いてみたり、金属のカンカンという音を楽しむことのあるクニちゃん。ポストに入れたら金属部分をカンカン、またポストに入れたらカンカン…。

「これだよ!原因は。」私がそういうとイタルさんもうなずきました。クニちゃんとイタルさんのコンビはもう4~5年。知り尽くしているがゆえに、逆に「周りから見たらどうだろう」という視点を失ってしまうことがあります。我々だってよくあることです。この「カンカン」は、見方によってはドアノブが開くかどうかを確認しているようにも見えます。ましてや女子寮に男性二人が来るわけですからそれだけで警戒されるのです。

それ以降「カンカン」を注意しながらの仕事。始めのうちは注意されるごとにびっくりした表情でキョトンとしていたクニちゃんもカンカンをやらなくなりました。私はこの時点で引いて、イタルさんにあとを任せました。

夕方、イタルさんから終了報告電話。カンカンについては「まだ時々やったりやらなかったりが続いたけど、もう大丈夫です。」と。いい表情で帰ってきました。

みんな、地域の中でいい勉強してるなあ。まあ、俺もだけどね。

まだまだ勉強。

頭下げられる回数より、頭下げる回数の方が何倍も多いのですから。

ふんぞりかえって勉強はできないですからね。

風邪も吹っ飛んじまいました。また明日頑張ろう!

「日中活動の充実?」…ヒントは書いたつもりだぜ。  

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