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2007年2月20日 (火)

障害者の地域福祉における地元不動産業者のとのつながりについて

障害者の地域福祉における地元不動産業者のとのつながりについて

先日ある短大の先生とお話して、表題の件について研究されているとのことで、意見等を求められました。「私のブログをよんでちょ~」とだけお答えしたのですが、私自身読み返したところ、該当する部分が少なかったので、ここでちょっと書きます。

<障害者の地域福祉について>

事業そのものが(うちのように)たとえ就労的事業が中心であったにしても、地域福祉の本来の目的は、「その人が(たとえさまざまな障害を抱えていても)当たり前のように地域で暮らす」ということが最大の目標になります。作業の提供はそれ自体が目的なのではなく、手段の体系の一つになるのです。

「地域で暮らす」ということの根本は、やはり<衣・食・住>のうちの<住>の社会的性格の有無にあります。その人が当たり前のように地域で暮らす、そのために我々福祉事業者ができることは何であるのか。そして我々の不足の部分は地域のネットワークを活用しながら、どうやって彼の<住>の社会的性格を支えていくのか、ということが大切なのです。

地域の中で、とりわけ<住>に関しての情報が集まるのは地元の不動産業者だと考えます。ですから我々は福祉事業の開所当所から地元の不動産業者との関係を大切にしてきました。

<どうやってつながりを作るのか>

 まず何よりも、障害を持つ仲間たちのことを理解してもらわなければなりません。「理解してもらう」という言い回しは、福祉関係者が好きでよく使うものですが、ここで少し注意が必要です。「どう理解してもらうのか」ということを考えなければなりません。その人の障害特性を理解してもらい、「障害者だから仕方がないんですよ」ということを理解してもらうということでしょうか? 違いますよね。「自分と同じ人間じゃん!しかも頑張ってるじゃん!」という形で理解してもらうことが第一前提ですよね。そのためにはやはり仕事ですよね。その結果ですよね。

 不動産業者が抱えている駐車場の除草、空き室の清掃、物件広告の配布、夜逃げの後処理…。これらを仕事として請けて、結果を返すんですよ。除草だったら作業前と作業後の写真、働いている写真なども報告書に添付してお見せする。物件広告の配布ならば、まずは小中学校の学区を意識することですよね。引越しする際、親がまず考えることが子供の転校の有無ですから。そのあたりを下調べして、反響が来やすいエリアをこちらから逆に意見するくらいまでにこちらの力量をつけること。そして結果につながることを実感してもらうこと。こういうことの積み重ねで、まずはその業者にとってなくてはならないパートナーになることが大切ですよね。

<その前に、付き合う業者の選び方>

 基本的には地元密着型の業者を選ぶこと。そして障害者の<住>に関係することですから、賃貸に強い業者。その上で、窓口の方のうち一人でもいいですから、福祉に対して理解がある人がいるところ。その人に対してまずは結果を返すことを何よりも大切にする。そうすれば自然と上の方の人が名刺を持ってこちらに来てくれます。

<その先のこと>

 互いのニーズを知り合う関係を作る。その不動産業者が抱えているアパートなどで暮らしている障害を持つ方のことでお困りになっているというケースは結構多いのです。「うちの利用者じゃないから関係ない」という態度をとったら終わり。もちろん背負い込みすぎるのも事業的な意味でマイナスになる可能性がありますので注意しなければなりませんが、お困りになっている事例をよき聞いて親身に解決策を講じることが大切です。

 そういうケースの場合、これまで、掃除や引越しを手伝ったり、買い物を手伝ったりしてきました。オーナーさんと居住者(障害者)の対立が深くなったりした時には、そこに入り込みすぎずに、その方の通院している病院のワーカーさんをつきとめ、そのワーカーさんと一緒に中に入って解決するということもしてきました。前提的に病院のワーカーさんとのつながりは大切です。こちらはワーカーさん(=病院)とのつながりのある事業者として、不動産業者のニーズに対応するのです。言い方は悪いですが、病院内のワーカーさんは所詮病院の人です。いかに地域福祉・地域医療を目指して頑張っている方でも、地域資源そのものとのつながりは我々ほどではありません。逆に障害を持つ入居者を抱えている不動産業者やオーナーさんにとってみたら、病院はよく分からない世界です。我々がその接点を担うことで、信頼をつかむことです。

 そうすることで、直接自分の事業所の利用者でない方の地域生活に関する諸問題も、側面的に支援し、地域福祉を進めることです。テメエのことしか考えない福祉事業者は、所詮テメエのことしか考えずに口で「ネットワーク」というだけなので、深みのあるつながりは作れないのです。

 つぎにこちらのニーズも伝えていきます。仕事上のニーズもありますが、それ以外もあります。千葉県では地域活動支援センターにおいて家賃補助制度があります。不動産業者との日ごろの付き合いの中で、そういう福祉制度についても理解してもらうことです。うちの事業所の周りの不動産屋さんは、みんな自立支援法に強いですよ(笑)。

 例えば家賃補助の限度額以内ならば事業者は直接の負担額は発生しません。ただし、敷金・礼金・保証金などは補助の対象で丸ごと自己負担になります。もう分かりますよね。オーナー様にも不動産業者にもプラスになる方向でかつこちらの負担額を減らせる方法を検討してもらえる関係ができるのです。

<さらにさらに>

不動産業者に好印象を与えれば、その業者と付き合いのあるオーナー様や事業主様にそのイメージは広がります。どうやって広げてくれているのかは直接見たことないので分かりませんが、パーッと広がっていくようです。それでずいぶん仕事も増えました。(もうこれ以上はお腹いっぱいです。)

<ひとつの到達点として>

 うちの利用者が生活の場を求めている時、あるいはグループホームなどを探している時、その業者は親身になって、探してくれます。オーナー様の不安に対しても、ちゃんと説得してくれて、安心させてくれます。そして何かトラブルがあったときには、対応してくれます。それだけでどんなに有難いことか!

 ただ飛び込みで行って頭を下げて「生活の場を探してください」とやっても、仕事としては受けてくれても、その先は分かりません。そうならないためにも地道な関係を作っておくことが大切です。地道にコツコツ、そしてその中心は障害を持つ仲間たち自身だということです。

<まとめ>

仕事を通じて(不動産業者と障害者との)人間的なつながりを作り出し、その人間的なつながりを通じて地域福祉の仕事を進めていくのです。但し、不動産業者同士の関係については慎重に!配慮の力が求められます。

これ以上うちの方法をしゃべると、うちの職員に「それは企業秘密ですよ」と怒られてしまうので、これでおしまい。

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