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2006年8月24日 (木)

まだまだ勉強!~相談支援事業編

 今日で「障害者相談支援従事者研修」が終わりました。演習の3日間、とにかく勉強になりました。これまでたくさんの相談を受けてはきましたが、入り方・引き方・広げ方・深め方、全部経験の蓄積だけで対応してきたような気がします。そしてそえゆえに客観的な自分の傾向などを振り返ることがあまりできずにきました。それはそうですよね。自分の経験から自分の傾向を拾い上げることは至難の業ですから。今回ケアマネジメントの方法論というものに触れて、自分の傾向を客観的につかむことができました。それが一番の収穫です。それといかに勉強不足であるかを身にしみて知りました。主催された県の障害福祉課の方々、講師の方々、ほんとうにありがとうございます。とくに講師の方々は日に日に疲れが表情ににじみ出て、その疲れの見える表情から、いかに真剣に障害者の相談事業というものを考えていらっしゃるのかを垣間見ることができました。我々、未熟な受講生に対する憤慨の気持ちも当然持たれていたと思います。その気持ちこそ実にありがたいことです。

課題を多く抱えながらも、一応終了認定証をいただき、ため息交じりですが「頑張らなきゃな~」と思い、会場を出て歩いていると、後方から呼び止められた。「あの~ちょっと聞きたいんですけど」

おおっ相談支援のクライアントの第1号がもう来たか!研修の成果の見せ所です。

「あの~陸ガメのオスとメスはどうやって見分けるんですか?」

私は答えました。「尻尾の根っこの太いほうがオス。おしっこの穴の位置も少し違うんですよ・・・」一方的に答えてしまう私。

すると「食べ物は亀餌ですか?」とか「ロシアの亀なんですけど、どのくらいで大きくなるんですか?」とかと質問。

「亀餌はあげすぎるとダメですよ。栄養がよすぎて体の成長に甲羅の成長が追いつかず、甲羅の形がゆがんできてしまうんです。やっぱり葉っぱが中心のほうがいいですよ。葉っぱもほうれん草はダメ。アクが強いから。小松菜かチンゲンサイ。一番いいのはタンポポ。でも道端に生えているのはだめ。排気ガスとかあるから。ちゃんと公園とか山のほうから採ってきて・・・」「大きさはこのくらい。オスのほうが若干小さくて、もともと小さい個体の子なら、それ以上あまり大きくならないかも・・・」またも一方的に答えるだけ。

研修でも「アセスメントができていない」「ニーズをつかみとることができていない」「相手の過去と現在と将来の生活の全体像がイメージできていない」といろいろ指摘してくれました。

そのクライアントのカメは一匹なのか複数なのか。一匹だとしたら尻尾の太さの比較を言っても話が噛みあいません。なぜオスとメスの違いが問題になるのか。子孫が欲しいのか、名前をつける際の判断基準なのか。「オスとメスの見分け方を知る」というニーズのもうひとつ先のニーズをつかみとることができないのです。ただ一方的に答えを並べているだけなのですから。「ロシアのカメ」といっても「ホルスフィールドリクガメ」(別名ロシア陸ガメ)のことを指しているのかさえ確認していません。なのに「このくらいの大きさにしかなりません」と無責任な答えをしてしまったのです。その子の甲羅や顔の形、特徴などを聞いて見なければ断定できないのです。もし間違って「ケヅメリクガメ」だとしたら大変です。数年で50cmほど、最終的には80cmほどになってしまいます。そういう可能性をおくならば、そのカメの住環境を知る必要があるのです。部屋で住むのならば、水槽では無理。部屋で普通に暮らすしかありませんが、その場合「紙おむつ」をつけないと大変なことになります。ウンチとおしっこを一日数回。「紙おむつ」も自立支援医療からは費用が出ません。経済的なことも問題になります。「相手の世界をイメージする」それを最初のアセスメントでどれだけできるか・・・その点で失敗しているのです。

「亀餌はダメ」「タンポポがいい」とすぐに答えを押し付けてしまうところもあります。でもこれは危険でさえあります。実はうちはかつてカメの定期健康診断(*1)で、甲羅の変形を指摘され、亀餌から自然食への変更を指示されたことがあります。長年亀餌で育ってきた子に「亀餌はあげない。タンポポを食べなさい。食べないのはお前のわがままだ!」という対応をしてしまいました。カメは数日間ハンガーストライキ。危険になってから私たちは反省して、週に1回、2回とタンポポを増やしていき、自然と慣れるよう、その後関わり方を変えてやっと定着しました。そんな経験があったのです。その子がどんな食生活なのか、誰がどう食事を与えているのか。その後お風呂は入れているのか。ウンチはどこでどうしているのか。温度は何度に設定して湿度はどう管理しているのか。(湿度管理で失敗するとかなりのダメージを受けます。)カメの全生活をイメージする場合、そういうことがまず問題になるはずです。それが問題にならないような「インテーク」を行っているのです。

・・・(*1)うちの長男がお腹の中で妊娠10ヶ月目のとき、カミさんが私のトラック(うちのマイカーはなぜかトラックでした)の荷台にカメを乗せ、ひとりで運転し、専門医に行ってカメの健康診断したときのことです。一歩間違えれば、うちの長男はカメの病院で生まれるところでした。・・・

さて私の面接技法を「ケアマネジメントの7原則」に照らし合わせてみましょう。

①個別化の原則・・・「ロシアのカメ」というだけでホルスフィールドの一般的な飼育法を対置しているだけで、その子に即して考えていないのです。

②意図的な感情表出の原則・・・相手からプラスの感情を引き出すのに失敗して「ダメ」「ダメ」で終わってしまっています。

③統制された情緒的関与の原則・・・「ちゃんと答えよう」という気持ちが先にたって、一方的な対置に終わっている以上、情緒の統制には失敗しているのでしょう。

④受容の原則・・・「ダメ」「ダメ」では、まず受け止め・受け入れるということに失敗しているということです。

⑤非審判的な態度の原則・・・「審判的態度」そのものです。

⑥自己決定の原則・・・カメそのもののニーズをつかみとっていません。カメが欲する食べ物とこちらから健康面に留意して勧めるものの違いをどうすり合わせるかという視点・それ以前にそのカメは何を食べたいのかという視点がないのです。これでは「自己決定」につながりません。

⑦秘密保持の原則・・・「相談の内容について、秘密は厳守するという原則をきちんと話す」という接し方ができていません。このブログもそのカメの同意を得ていません。

やはり頭で理解することと、それを方法論として実践に適応することではまるで違います。学んだものが血となり肉となるためには、たえず自分の実践を振り返り、自己省察することが大切です。

また頑張ろうと思います。

(追記)

この記事、もちろんふざけていますが、現場の仲間たちにはヒントとなるようなことを盛り込んだつもりですので、みなさん2回目は真剣に読んでくださいね。所長より。

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